日本グループ・ダイナミックス学会が発行する「実験社会心理学研究」に下記の論文の掲載が決定しました。
有吉美恵・池田 浩・縄田健悟・山口裕幸(印刷中) 定型業務がワークモチベーションを抑制させる心理プロセス:職務意義の媒介効果 実験社会心理学研究
ワークモチベーションに関するほとんど全ての研究は、ワークモチベーションをどのように高めるかに焦点を当てたものです。
しかし、上記の研究はその逆の視点として、特に事務的な業務や反復的な業務を総称した「定型業務」のもとでなぜワークモチベーションが抑制されるのか、その心理的メカニズムを実証的に明らかにしています。
その心理的メカニズムとして「職務意義」に着目し、顧客への貢献や自己成長などの職務意義が満たされないために、ワークモチベーションが抑制されること明らかにしています。
日本リーダーシップ学会論文集にサーバント・リーダーシップに関する論文が掲載されました
2018年1月に発行された「日本リーダーシップ学会論文集」に下記の論文が掲載されました。
池田 浩・黒川光流(2018). サーバント・リーダーシップの波及効果と職場活性化 日本リーダーシップ学会論文集, 1, 24-30.
上記の論文は、サーバント・リーダーシップがどのようなプロセスでチームメンバー同士の良好な関係性を形成するかを、学生集団と看護師の職場の2つのサンプルを対象に検証したものです。
よくリーダーシップが直接的にチーム内の関係を育むと考えられがちですが、上記の2つのサンプルからはことなる結果が得られました。
1.サーバント・リーダーシップは、チーム内のメンバー同士の関係性(TMX:Team-Member eXxchange)を形成するポジティブな効果を持つ。
2.ただし、この効果は、2つの間にリーダーとメンバーとの関係性(LMX:Leader-member eXchange)を入れると消失する。
3.すなわち、サーバント・リーダーシップは直接チーム内のメンバー同士の関係性を育むのではなく、サーバント・リーダーシップによってリーダーと個々のメンバーとの関係性が育まれて、その結果としてメンバー同士の関係性の形成に発展する。
本研究では、これらの効果を総称して、「サーバント・リーダーシップの波及効果」と名付けました。
共同研究が2017年日本心理学会 優秀学会発表賞を受賞しました
2017年9月20日-21日に久留米シティプラザで開催された日本心理学会第81回大会において,以下の発表が「2017年学会賞(優秀発表賞)」のひとつに選ばれました。
・発表者:有吉 美恵(九州大学大学院)、池田 浩(九州大学大学院)、縄田 健悟(福岡大学)、山口 裕幸(九州大学大学院)
・発表題目:社会的貢献の振り返りが新任者のストレスを低減する効果
本共同研究は、コールセンターに勤務するオペレーターを対象に、彼・彼女らのストレスを抑制し、そしてワークモチベーションを向上させることを目指した一連の研究の一部です。
昨今、様々な業種でコールセンターが設置されていますが、そこで勤務するオペレーターのストレスや退職率の高さが問題となってます。
その中でも、本研究で対象としているオペレーターの受電内容は、顧客から寄せられるトラブルに適切かつ迅速に対応することが求められるものであるため、達成感を感じにくいという特徴をもっています。
こうしたコールセンター業務において、我々は現場観察やインタビュー、質問紙調査を行い、オペレーターのワークモチベーションを左右する心理的要因として『社会的貢献感』(自らの業務を通じて“顧客”、“同僚”、“上司”(総称して『社会的』)に貢献できていると感じる程度)を同定し、その効果を検証してきました。
本研究では、そうした社会的貢献感を意識化するための取り組みとして、某企業の複数のコールセンターに1ヶ月間の介入を行い、その効果を検証したものです。
新刊「社会心理学におけるリーダーシップ研究のパースペクティブII」が出版されました
各章は下記の通りです。
新刊「職場のポジティブメンタルヘルス2: 科学的根拠に基づくマネジメントの実践」が出版されました
このシリーズは、基本的には日本生産性本部と東京大学が共同で設立した「健康いきいき職場づくりフォーラム」において、毎月様々な分野(産業保険、臨床心理学、産業・組織心理学、経営学など)の研究者が、「健康いきいき職場づくり」に関する最新知見とそれに基づく実践方法を紹介するコラムをベースに書き下ろしたものです。
「健康いきいき職場づくり」という共通のテーマに対して、学際的な視点からの最新知見と実践的アプローチは、学問的にも興味深いだけでなく、現場に役立つ内容にもなっていますのでぜひ興味のある方はご一読ください。
各章の内容は下記の通りです。