「研究成果」カテゴリーアーカイブ

「産業・組織心理学研究」の特集号に論文が掲載されました

「産業・組織心理学研究」の特集号「ウィズ・アフターコロナにおける産業・組織心理学」に、下記の論文が掲載されました。
 
池田 浩・縄田健悟・青島未佳・山口裕幸(2021)テレワークのもとでの自己調整方略:自己調整方略の効果とそれを醸成する上司からの被信頼感 産業・組織心理学研究, 35(1), 61-73.
 
昨年からコロナ禍となり、多くの組織でテレワークという新しい働き方が運用されていますが、ストレス軽減やワークライフバランスの向上などのメリットが強調される一方で、オフィスよりも仕事がはかどらない、モチベーションの維持が難しいなどのデメリットが指摘されています。
 
オフィスでは、会社という場に出向き、上司や同僚と同じ空間で働くこと自体、気持ちが引き締まり、仕事に気持ちが向かうものの、テレワークでは自律的に仕事に向かう必要があります。そうしたモチベーションを自ら高め、維持する方略のことを本研究では「自己調整方略」と呼びました。「自己調整方略」は下記の図に示す通りです。
そして、自己調整方略を行っている人は、テレワークでの働き方にどのような変化をもたらしたかを明らかにしました。
もう1つ本研究の興味深い取り組みは、テレワーク環境下における「リーダーシップ」の問題について検討しました。
テレワークでは、上司と物理的に距離があるため、リーダーシップが機能しにくくなる、という指摘があります。そこで、本研究では、テレワーク環境下で「自己調整方略」を高めうるリーダーシップについて検討したところ、通常のリーダーシップの効果は見られず、むしろ「リーダーに対する被信頼感」(自分はリーダーから信頼されている感覚)が効果を持つことが明らかになりました。
 
テレワークについて興味のある方はぜひご笑覧下さい。

 

「産業・組織心理学研究」第34巻2号に、INSSとの共同研究の論文が掲載されました

 
産業・組織心理学会が発行する「産業・組織心理学研究」に下記の論文の掲載が決定しました。
 
池田 浩・秋保亮太・金山正樹・藤田智博・後藤学・河合学(2021)安全の現場に求められるワークモチベーション:安全志向的モチベーションの効果とその源泉としての自己価値充足モデル 産業・組織心理学研究, 34(2), 133-146.
 
この論文は、2016年度から原子力安全システム研究所(INSS)と「安全の現場に求められるワークモチベーション」について共同研究を進めてきた成果をまとめたものです。
 
安全の現場では、安全に関わるルールや手順を遵守することが当然のことと見なされており、そこで働く人々のモチベーションの問題についてあまり取り上げられることはありませんでした。そこで、本論文では、新たに「安全志向モチベーション」なる概念を提案して、その尺度も作成しています。
 
一般的にワークモチベーションが意味することは、目標達成や業績を上げることに向かう「接近」志向が暗黙の前提とされていました。過去のモチベーション理論もそうした課題や成果を前提としていました。
しかし、安全が求められる現場では、ミスや失敗を回避しながら安全を実現することを志向する従来のモチベーションとは異なる特徴を持ちます。
 
そうした点に着目しながら、2つの大規模病院の看護師の皆様に協力して頂き、安全志向モチベーションの有効性を実証した論文になります。

「産業・組織心理学研究」に第2著者の論文が掲載されました

産業・組織心理学会が発行する「産業・組織心理学研究」に下記の論文の掲載が決定しました。 

有吉美恵・池田 浩・縄田健悟・山口裕幸  (2018).  ワークモチベーションにおける社会的貢献感の役割:コールセンター受電業務オペレーターを対象とした調査研究産業・組織心理学研究, 32, 3-14.

本研究は、2015年から4年ほど関わらせて頂いている某コールセンター企業での研究の一部です。コールセンター業務は、様々な業種に広がっていますが、時にお客様から厳しい声があるために、ストレスを抱えやすく、離職率も高いと言われています。


九州大学の我々の研究室では、特にお客様からのトラブルやクレームを対応することが求められているコールセンターに勤務するオペレーターを対象に、彼ら/彼女らがどのように仕事へのモチベーションを維持したり、高めているかの心理的メカニズムを明らかにしています。

本論文では、特にお客様や同僚などに自分の仕事や対応が役立っていると感じることを「社会的貢献感」と名付け、これがモチベーションを促進する効果を実証したものです。


なお、この知見をベースに、オペレーターのモチベーションを高める現場介入も行っていますが、これについては後続する論文にまとめられる予定です。

「社会心理学研究」に第3著者の論文が掲載されました

日本社会心理学会が発行する「社会心理学研究」に下記の論文の掲載が決定しました。 

秋保亮太・縄田健悟・池田 浩・ 山口裕幸 (2018). チームの振り返りで促進される暗黙の協調:協調課題による実験的検討 社会心理学研究, 34, 67-77.

本研究は、チームのメンバー同士が、会話を行わなくても協調できる「暗黙の協調」の現象を実験的に検証したものです。ラビリンスゲームという2人のメンバーが協調することが求められる迷路課題を使って、セッション事にチームで振り返りを行う条件とそうでない条件で比較しました。


すると、初期のセッションでは、振り返りあり/なしの条件で暗黙の協調度に違いがありませんでしたが、セッションの終盤になると、チームで振り返っている条件ほど、暗黙の協調が行われていることを明らかにしました。

実験社会心理学研究に第2著者の論文の掲載が決定しました

日本グループ・ダイナミックス学会が発行する「実験社会心理学研究」に下記の論文の掲載が決定しました。
 
有吉美恵・池田 浩・縄田健悟・山口裕幸(印刷中) 定型業務がワークモチベーションを抑制させる心理プロセス:職務意義の媒介効果 実験社会心理学研究
 
ワークモチベーションに関するほとんど全ての研究は、ワークモチベーションをどのように高めるかに焦点を当てたものです。
しかし、上記の研究はその逆の視点として、特に事務的な業務や反復的な業務を総称した「定型業務」のもとでなぜワークモチベーションが抑制されるのか、その心理的メカニズムを実証的に明らかにしています。
 
その心理的メカニズムとして「職務意義」に着目し、顧客への貢献や自己成長などの職務意義が満たされないために、ワークモチベーションが抑制されること明らかにしています。