月別アーカイブ: 2014年3月

2014年度 読書会のご案内

来年度、「集団やチーム研究の方法論」に関する新しい読書会を開催する予定です。
心理学一般や社会心理学に特化した研究法の書籍はありますが、「集団やチーム研究の方法論」についてはなかなか体系的に学ぶ機会はありません。
今回読書会で取り上げる本は、集団やチーム研究を行うための実験や調査の基礎だけでなく、チームメンバー同士の相互作用を理解するためのコーディング、チームに流れる感情や情動、集団レベルのデータ分析方法(マルチレベル)など、最新の手法を盛り込んで幅広く網羅されています。

御興味のある方はぜひご参加ください。

以下は、読書会の案内文です。

課題図書 「Research Methods for Studying Groups and Teams: A Guide to Approaches, Tools, and Technologies」(ISBN:978-0415806336)
http://www.routledge.com/books/details/9780415806336/
参加要件 合計20章のうち、ご自身の関心のあるいずれかの1章をご担当頂き、発表していただきます。
発表の際には、欠席者も読んで概要が分かる程度のレジュメを作成して頂き、これをもとに発表していただきます。
(レジュメの枚数は問いません。)
開催時期 第1回目:8月~9月頃の連続2日間、第2回目:2月~3月頃の連続2日
発表順と幹事 今回は、合計2回にわたって読書会を開催しますが、各回の発表者が幹事となって頂きます。
幹事は、その会の読書会に変わる、①日程、②会場の決定、③当日の準備(お菓子や飲み物の準備なども含む)、④懇親会の開催を仕切ってもらいたいと思います。
読書会参加申し込み方法 読書会に参加希望の方は、(1)参加する旨をお知らせいただき、そして(2)希望する章について第3希望まで私宛(ikedah@fukuoka-u.ac.jp)にお知らせ下さい。

何かご不明な点などありましたら、ikedah@fukuoka-u.ac.jpでお問い合わせ下さい。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

産業・組織心理学会の組織行動部門研究会で「サーバント・リーダーシップ」の研究成果を報告しました

去る3月8日に産業組織心理学会の組織行動部門研究会において、「未経験課題を克服するリーダーシップ」というテーマのもとで、サーバント・リーダーシップの研究成果を報告しました。

私の今回の発表ですが、まずリーダーシップ研究の最新の動向を概観しながら、従来のリーダーシップと「サーバント・リーダーシップ」がどう違うのかについて、下記の3点を中心に報告しました。

1つ目の違いは、従来のリーダーシップ論(2要因論や変革論など)は主に「リーダーとして何をすべきか(What I should do)」を追求していたのに対し、サーバント・リーダーシップや関連する倫理的リーダーシップ(Brown & Treviño, 2006)やオーセンティックリーダーシップ(Avolio & Gardner, 2005)は「リーダーとしてどうあるべきか(What I should be)」というリーダーとしての「姿勢」が問われていることです。

2つ目の違いは、従来と比べて、昨今のリーダーシップでは特に「メンバーの自律性」や「チーム力」を引き出すことが一層期待されていることです。これは、ひとえに、昨今の組織を取り巻く環境の変化がこれまで以上に激しく、また未経験な課題に直面することも珍しくなくなったことによるものです。

3つ目は、従来のリーダーシップは、人の上に立ち、上意下達で支持や命令をするものという暗黙の前提があったのに対し、「サーバント・リーダーシップ」は逆にフォロワーやチームに尽くしたり、支えたり、支援することを強調する理論で、リーダーシップ研究において「パラダイムシフト」(これまで支配的に考えられていた価値観が変わること)が起きていることです。

これらの違いを踏まえながら、「サーバント・リーダーシップ」の最近の研究成果と私がこれまで収集した研究結果を踏まえ、「サーバント・リーダーシップ」に関する効果と可能性について報告させて頂きました。

発表後も多くの方にコメント頂き、特にメンタルヘルスなどに携わっておられる人事関係の方々から、サーバント・リーダーシップがポジティブ・メンタルヘルスや組織活性化に寄与するのではないか、といったコメントも頂きました。

3月1日に「チーム研究会」を開催しました

去る3月1日に東京大学工学系研究科の野々瀬晃平先生をお招きしてチーム研究会を開催しました。当日は、福岡近辺だけでなく、京都や大阪から含め、20名ほどご参加頂きました。

野々瀬先生からは、主に「認知工学システム」の立場から、チームメンバー視点によるチーム認知の評価手法についてご発表頂きました。

心理学を中心とするチーム研究の主流は、例えば、AさんとBさんのチームに関する認識の総和や共通性を抽出して「チーム認知」あるいは「共有認知」として捉えることが一般ですが、野々瀬先生は、その人自身の認知(一層目)にとどまらず、相手の認知(一層目)に対する信念(相手がどう思っているのか:二層目)、さらに相手の信念(二層目)に対する信念(相手からどう思われているのか:三層目)を区別して、特に三層目の『相互信念』に基づくチーム認知がパフォーマンスにどう影響するかを検討されていました。

共有認知をどう取り出すかは、様々な論争がありますが、その中でも「相互信念」という手法は興味深いアプローチです。

また、チーム実験を行う際によく問題になるのが、①どんな課題を用いるか、②メンバーの役割をどうするかです。従来の社会心理学的な集団実験の課題は単調なものが多く、なかなか実験参加者に課題にコミットしてもらうことが難しいという問題がありました。それに対し、野々瀬先生の実験ではフライトシュミレーターという面白いゲーム課題を用いており、なおかつ2人で役割分担しないとうまく成績を上げられない課題を用いている点は、今後のチーム実験でも参考になりそうです。

第3回TTC(Theories of Team Cognition)読書会のお知らせ

第3回TTC(Theories of Team Cognition)読書会を開催します。

読書会メンバー以外で参加をご希望の方は、池田(ikedah@fukuoka-u.ac.jp)までご連絡下さい。

日時 2014年3月14日11:00~17:00,15日10:30~16:30
場所 福岡工業大学 B棟4階 多目的室
発表者*・章 1日目
池田浩(福岡大学)

「Chap.5 Leadership and Emergent Collective Cognition.」

三沢良(電力中央研究所)

「Chap.7 A Cognitive Systems Engineering Perspective on Shared Cognition: Coping with Complexity.」

秋保亮太(九州大学)

「Chap.10 Combinations of Contributions for Sharing Cognitions in Teams.」

2日目
三上聡美(九州大学)

「Chap.19 Team cognition, communication and message interdependence.」

吉原克枝(福岡工業大学短期大学部)

「Chap.22 Facilitation effective mental model convergence: the interplay amoung the team’s task, mental model content, communication flow and media.」

菊地梓(九州大学)

「Chap.23 Commentary on the coordinates of coordination and collaboration.」

*敬称略。