月別アーカイブ: 2013年12月

「健康いきいき職場づくりフォーラム」に「サーバント・リーダーシップ」の知見を紹介しました

「健康いきいき職場づくりフォーラム」とは、(公財)日本生産性本部と東京大学が共同で設立したもので、メンタルヘルスなどの予防の範疇を超えて、組織全体とアクティブにするための取り組みを行うことを目的としています。

その中で、2013年4月から月に1度、心理学や経営学など多様なご専門の先生が組織をアクティブにするための最新の知見を紹介しています。HPは下記の通りです。

http://www.ikiiki-wp.jp/

池田は、2014年1月の担当で、「献身的なリーダーシップが職場をアクティブにする!」というタイトルで、サーバント・リーダーシップが職場や従業員をどのようにアクティブにしていくかを紹介していきました。

年末が原稿の締め切りで、年明けにアップされるとのことです。
本文は会員限定となっていますが、リード文だけは閲覧できるようです。

「サーバント・リーダーシップ」に関するメールマガジンの原稿を寄稿しました

福岡のある企業が運営管理し、加盟企業宛に配信するメールマガジンで、8月から11月まで合計4回分「サーバント・リーダーシップ」に関するメールマガジンの原稿を寄稿しました。

各回の内容は下記の通りです。
8月は「引っ張るリーダーから、支えるリーダーへ:新しいリーダーシップの待望」
9月は「部下を活かし、奉仕するサーバント・リーダーシップ」
10月は「サーバント・リーダーシップを実践する」
11月は「部下の意欲と能力を育む効果的な「褒め方」」

従来のリーダーシップ研究だけでなく、組織の現場においても、リーダーシップとは大勢のメンバーの上に立ち指示や命令することと根強い考え方があります。「サーバント・リーダーシップ」はそうした発想とは逆の原理であり、メンバーとの信頼関係の構築やメンバーのモチベーションの醸成、チーム力の形成などポジティブな効果を秘めています。

メールマガジンでは、いくつかの産業教育団体やコンサルティング会社が実施した最近の調査結果や、リーダーシップなどの事例などを取り上げて、平易に解説しました。

この原稿に限らず、何らかの形で「サーバント・リーダーシップ」に関する理論や研究知見を一般向けに紹介していきたいと思います。

謝辞:本原稿を作成するにあたり、科学研究費補助金 若手B(25780383 研究代表者:池田浩「メンバーの自律性とチーム力を引き出すサーバント・リーダーシップに関する研究」)の支援を受けました。

チーム研究会を開催します

現在、読書会(詳細)を行っている「Theories of Team Cognition: Cross-Disciplinary Perspectives」では、心理学だけではなく工学など学際的なアプローチから議論されています。

そこで、読書会を契機に、東京大学工学系研究科の野々瀬晃平先生をお招きしてチーム研究会を開催することになりました。

野々瀬先生は、「チーム状況認識」(team situation awareness ) について実験的な研究だけでなく、航空の現場でもご研究されています。特に、「チーム状況認識」は、チームの協調のメカニズムを理解する重要な概念です。

興味のある方はご参加下さい。

日 時 2014年3月1日(土)15:00-17:00
場 所 福岡大学 文系センター棟9階 学部共同研究室B
■交通アクセス
http://www.fukuoka-u.ac.jp/help/map/
■キャンパスマップ
http://www.fukuoka-u.ac.jp/aboutus/facilities/map.pdf
文系センター棟は、地下鉄七隈線「福大前」駅の1番出口から出て真っ正面のビルです。「学部共同研究室B」は、エレベーターで9階に上がって頂いてすぐの部屋です。
講演者* 野々瀬晃平(東京大学工学系研究科 助教)
演 題 チームメンバー視点のチーム認知の評価手法に関する研究
概 要  チーム認知は優れたチーム協調を行う上で重要と考えられている。その評価手法ではチームの観察者視点のチーム認知の定義(チームメンバーの認知の和や重なり)が多く用いられている。しかし、チームメンバー自身が持つチーム認知、すなわち他のチームメンバーが何を考えているのか、自身が他のチームメンバーからどう思われているのか、といった信念もチーム協調を評価する上で重要と思われる。研究会では、こうしたチームメンバー視点のチーム認知の評価手法を紹介する。

*敬称略。

当日は、研究会の後に懇親会を予定しています。資料の準備とお店の手配の関係で、研究会と懇親会に参加をご希望の方は、池田(ikedah@fukuoka-u.ac.jp)までご連絡下さい。

共著で執筆した書籍『心理学A to B』が刊行されました

心理学AtoB福岡大学で主に共通教育科目(一般教養)の「心理学」を担当している同僚の佐藤先生と大上先生と私の3人が中心になって執筆した教科書が、先月末に培風館から刊行されました。

『心理学A to B』というタイトルは、教養のテキストで心理学の入り口という意味で、いつか「A to Z」まで改訂したい、という著者の想いが込められています。

 教養のテキストですので基本的な内容にとどまっていますが、本書が、企画の段階から工夫したのが、教科書という書面では十分に納めることができない画像や尺度、動画などを「CD-ROM」として収録しているところ。

 特に『知覚』の章は、こんな錯視図形があったのか!という心理学を学んだ人は特に共感するような画像がかなり収録されています。また、『学習』では、福岡の人にとってはお馴染みの「マリンワールド 海の中道」の協力を得て、イルカの学習場面を撮影させて頂きました。

さらには、『発達』では、生後2週間ほどの赤ちゃんに協力(?)してもらい原始反射の動画も収録されています。

CD-ROMを付属することのメリットは、教科書の中味の改訂と違って、コンテンツをドンドン追加しやすいこと。既に、追加コンテンツの案も上がっているので、少し落ち着いてからまた充実させていく予定です。

第2回TTC(Theories of Team Cognition)読書会が開催されました

去る12月1日(日)に福岡女学院大学で第2回TTC(Theories of Team Cognition)読書会が開催されました。

Theories of Team Cognitionは、チーム研究の大御所であるEduardo Salasを中心に主に「チーム認知」について専門的にまとめられた本で、チーム認知に関わる最新の理論や知見が盛り込まれているだけでなく、心理学や工学など学際的な分野からアプローチしている点も特徴的です。

最初に藤村先生(福岡女学院大学)から第9章「Articulating Collaborative Contributions to Activity Awareness」についてご発表頂きました。この章のキーワードは「活動認識」(Activity Awareness)。この概念は、チームが活動に取り組んでいる最中に、他のメンバーの活動の様子を相互に認識する概念です。

発表では、この「活動認識」がチームにおける円滑な連携や調整を実現するという前提にたち、活動認識を実現するために必要な「コラボレーション能力」についても概説してありました。

続いて、相馬先生(広島大学)からは第15章「Gaining insight into team processes on cognitive tasks with member expectations and the social relations model」についてご発表頂きました。

チーム研究で十分に明らかにされていないブラックボックスは、実際にどのような「チーム活動プロセス」が展開されているかです。そのプロセスを推定する手がかりとして、「社会的関係理論」(social relations model)から議論されていました。

参加者によるディスカッションでは、この理論をチーム研究に用いるのは、現場では難しいが、チーム実験であればうまく応用して「チームプロセス」の解明につながるのではないか、といった研究デザインに踏みこんだ議論が展開されました。

最後の発表は、九州大学大学院の松尾先生で第17章「Transactive memory theory and teams: past, present and future」でした。

チームワークを支える要因として「共有認知」の重要性はよく知られています。その中で、チームの活動方針や知識、態度などをメンバー間で共有する「共有メンタルモデル」(あるいはチームメンタルモデル)は有名な概念です。

それに対して、この章のキーワードである「Transactional memory」とは、「誰がどのような知識を持っているかに関する知識」をメンバー間で共有する認知を指します。言い換えると、専門的な知識を自分一人で記憶するのではなく、チームのメンバーでそれぞれ分有して記憶し、必要なときにその知識を保有するメンバーから引き出すという概念です。また、それをチームレベルで考えるとしばしばTransactional memory “system”と表現されることもあります。

この章の発表者である松尾さんは「Transactional memory」を直接研究しているため、本にない先行研究の話までご紹介いただき、また参加者からも「Transactional memory」の測定法や、それがどのような時に必要になるかなども議論されました。

次回第3回TTC読書会は、2014年3月14日と15日の2日間の日程で、福岡工業大学で開催される予定です。発表者などの詳細が決まりましたらこのHPでも案内したいと思います。