第2回TTC(Theories of Team Cognition)読書会が開催されました

去る12月1日(日)に福岡女学院大学で第2回TTC(Theories of Team Cognition)読書会が開催されました。

Theories of Team Cognitionは、チーム研究の大御所であるEduardo Salasを中心に主に「チーム認知」について専門的にまとめられた本で、チーム認知に関わる最新の理論や知見が盛り込まれているだけでなく、心理学や工学など学際的な分野からアプローチしている点も特徴的です。

最初に藤村先生(福岡女学院大学)から第9章「Articulating Collaborative Contributions to Activity Awareness」についてご発表頂きました。この章のキーワードは「活動認識」(Activity Awareness)。この概念は、チームが活動に取り組んでいる最中に、他のメンバーの活動の様子を相互に認識する概念です。

発表では、この「活動認識」がチームにおける円滑な連携や調整を実現するという前提にたち、活動認識を実現するために必要な「コラボレーション能力」についても概説してありました。

続いて、相馬先生(広島大学)からは第15章「Gaining insight into team processes on cognitive tasks with member expectations and the social relations model」についてご発表頂きました。

チーム研究で十分に明らかにされていないブラックボックスは、実際にどのような「チーム活動プロセス」が展開されているかです。そのプロセスを推定する手がかりとして、「社会的関係理論」(social relations model)から議論されていました。

参加者によるディスカッションでは、この理論をチーム研究に用いるのは、現場では難しいが、チーム実験であればうまく応用して「チームプロセス」の解明につながるのではないか、といった研究デザインに踏みこんだ議論が展開されました。

最後の発表は、九州大学大学院の松尾先生で第17章「Transactive memory theory and teams: past, present and future」でした。

チームワークを支える要因として「共有認知」の重要性はよく知られています。その中で、チームの活動方針や知識、態度などをメンバー間で共有する「共有メンタルモデル」(あるいはチームメンタルモデル)は有名な概念です。

それに対して、この章のキーワードである「Transactional memory」とは、「誰がどのような知識を持っているかに関する知識」をメンバー間で共有する認知を指します。言い換えると、専門的な知識を自分一人で記憶するのではなく、チームのメンバーでそれぞれ分有して記憶し、必要なときにその知識を保有するメンバーから引き出すという概念です。また、それをチームレベルで考えるとしばしばTransactional memory “system”と表現されることもあります。

この章の発表者である松尾さんは「Transactional memory」を直接研究しているため、本にない先行研究の話までご紹介いただき、また参加者からも「Transactional memory」の測定法や、それがどのような時に必要になるかなども議論されました。

次回第3回TTC読書会は、2014年3月14日と15日の2日間の日程で、福岡工業大学で開催される予定です。発表者などの詳細が決まりましたらこのHPでも案内したいと思います。